ここでちょっと媒染のことを
右から酢、銅、鉄、 酢酸アルミ 灰、ミョウバン |
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ばいせんていう言葉自体がだいぶむずかしくて、訳わからなくなるけど、案外単純な物理的現象のことを言うのですね。もっとやさしい身近な言葉をつけといてくれれば良かったと思うのだけれど。要するに媒染するっていうことは、こういうことかしら・・・・植物の色素の中に、金属イオンというものと、とっても仲の良くなる要素(主に色素に対して)があるらしい。媒染をする・を、具体的に言うと、ある植物色素で染めた布を (それぞれの鉱物を溶かした水溶液)に浸す。すると染めてある色素と、仲の良い鉱物がくっつきあう。そのあと再び、前の染液(最初の液よりは薄くなっているが)に戻してやると、また仲の良い関係が生まれて鉱物と残った色素がくっつきあう。 という現象をつくっていく。ということかしら。そのことを繰り返しながらも、途中で新しい染液を取り換てやると、色素と鉱物が、おはぎ状に重なり、どんどん色がくっつきあって濃くなるということになるのです。酸やアルカリのような化学変化ではないのです。媒染ってそんな仕組みらしいのです。昔の人は普段の生活の中でこういう[仕組み]を学んだんだね。アルミ分のある灰や鉄分の多い沼の水などを上手に見つけて使ったんだ。 その代表が茜染めや泥染めになります。
代表的な媒染剤 ここでは、「これだけあればおおかたの色が出せる媒染剤」を紹介しています。 すべてバケツに水を入れそこに媒染原液を入れ薄めて使います。 |
銅原液 | |
原液は青色。(陶芸の釉薬も同じような色)。濃く深い色を出してくれる媒染剤。緑色や赤みの色、昆布茶色等の染めには欠かせない媒染剤でもある。 |
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アルミ | |
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原液、無色透明。明るい色を出すのに欠かせない媒染剤。明るい黄色や黄土色や若草色等を求めたい時にはこの媒染剤を使う。そして茜の発色にはこれがないとパンチの効いた赤を出せない。媒染剤の中では本来の色に一番近い色を出せるといわれる。 |
鉄 | |
原液は 鉄を溶かしたもの のように黒い。木の仕事の人も使う。大人のさび色を求めるならこれが一番。 |
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(明礬)焼きみょうばん硫酸カリウムアルミニウム |
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椿灰による |
椿灰に関してはアルミを含んでいるので媒染に使う。椿灰とは椿や榊系の葉を燃やして生まれ出る灰のこと。これには金属イオンのアルミ分が含まれているらしくアルミ媒染の中でも自然からのみの美しい色が得られる。 |
アルカリ性・酸性を利用した化学変化発色。もある。 |
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酢 |
いろんな植物にはそう反応はしないが紫蘇の葉や椿の花などの赤色発色に最適。アントシアニンに作用しているので欠点はさめやすい。 |
灰 アルカリ |
9月10月頃の、染め色の一番いい時期、煮出した液の中に、明るい赤色の色素があれば、灰を水で溶いた後の、上澄み液のみで、媒染後の色よりもっと暖かな赤色やピンクの発色を見ることが出来る。 |